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SCAJ2022〜中小企業診断士による最近のスペシャルティコーヒー業界動向の分析〜

 

2022年10月12日から14日の日程で、日本最大のスペシャルティコーヒーに関する展示会【SCAJ2022】が開催されています。

久しぶりに東京ビッグサイトでの開催となり、会場も広く取られ活気に溢れていました。

今回の目的ですが自身のコーヒー好きとしての欲望を満たすことはもちろん、中小企業診断士を取得してから初めてのSCAJという事もあり業界動向の調査も一つテーマとしていましたので、あわせてお伝えできればと思います。

【訪れたブースと得られた情報】

1、bodum(ボダム)

bodumは北欧デンマーク生まれのキッチンウェアブランドで、日本ではダブルウォールマグやフレンチプレスでご存知の方も多いかと思います。

フレンチプレスといえばペーパー等を使わずコーヒー粉に直接お湯をかけ、油分を含めダイレクトな風味を楽しめる抽出器具です。コーヒー好きや洗練されたキッチンウェア等に普段から親しんでいる層にとっては認知度も高いかと思います。

担当者の方によるとコロナ禍での在宅時間の増加や、より高品質な嗜好品としてのコーヒーを楽しむためのツールとして出荷量も順調に伸びているという事でした。

フレンチプレスはその性能上コーヒーの成分を余す事なく抽出することができ、コーヒー豆の品質を良くも悪くも最大限引き出します。

このような特性を持つ抽出器具が日本国内でも認知を高め消費者に選ばれていることは、スペシャルティコーヒーに携わる者としては嬉しく思います。更に多くの人がコーヒーの品質の良し悪しを楽しめるレベルになれると、今後の日本のコーヒー文化も期待出来ると思います。

2、ファミリーマート

みなさまご存知の『あなたとコンビに〜♪』でお馴染みのあのファミマです。ついにSCAJに出展してきたか!と思い嬉しくなりました。

ファミマといえばやはり『モカブレンド』です。

私は職場でもコーヒー好きを公言しています。その宿命(?)として「どこのコーヒーが一番美味しい?」という質問を結構な頻度で受けており、その時の回答としてここ数年はいつもファミマのコーヒーを推していました。これはスターバックスやドトール等のコーヒーチェーン店も含め、気軽に飲めるコーヒーとしての最高評価です。

いわゆる上記のような大手チェーンのコーヒーは、酸味の質やクリーンカップを重視するスペシャルティ基準に倣うと評価する以前の問題でしたが、ファミマの「モカブレンド」は唯一そのスペシャルティ基準に適合する可能性を秘めたチェーン店コーヒーではないかと思います。

初めて「モカブレンド」を飲んだ時の衝撃は今でも覚えています。

遂にコンビニコーヒーもここまで来たかと!

この「モカブレンド」を社内で担当する商品本部の担当者の方とも少しお話をさせていただきました。

やはりこのクオリティのコーヒーを1杯140円という喫茶店泣かせの価格で提供し得るコスト管理について非常に気になり質問させて頂きました。

結論としては国内約16,000店舗を抱えるファミマだからこそ「規模の経済」(取扱高の増加に比例して仕入れ価格が低減する)が働き、また焙煎方法を随時見直すことでより香りに特化した独自の品質・生産・コスト管理プロセスを実現しているとのことでした。

スペシャルティコーヒー入門としては裾野も広くかなりオススメであり、ここからコーヒー沼にハマって行く人が増えてくれれば嬉しいです(笑)

3、創作珈琲工房くれあーる

一般の方には耳馴染みがないかもしれませんが、スペシャルティコーヒー業界では知らない人はいない、レジェンド内田氏が経営される静岡のスペシャルティコーヒー店です。

私がSCAJの協会員となったばかりの時の「コーヒーマイスター講習」や、同じコーヒー豆をみんなで焙煎しチェックし合う「参加型ワークショップ」の時にご指導いただいたことがきっかけで存在を知るようになりました。

今回のブースでは直接お会いしてお話させて頂くことは出来ませんでしたが、ブースに訪れた時に対応してくださったお兄さん(Mさん)も、私と同じく小型本格焙煎機ディスカバリーを自宅で運用されている「コーヒー変態(笑)」ということが判明!

焙煎談義をする中で併せて名刺交換。今後もコーヒー豆の交換等を通じて交流していきましょうと!と固く誓い、新たなコーヒー仲間ができ嬉しい出会いとなりました。

(購入豆:2021ブラジルCOE2位 アイビー)

4、丸山珈琲

丸山珈琲も言わずと知れたスペシャルティコーヒー業界のレジェンドである丸山健太郎氏が経営される企業です。

実は私が現在主に焙煎しているコーヒー豆も丸山珈琲のものであり、そのご縁もあり初めてお会いして少しお話しさせて頂くことが出来ました。

豆のクオリティが飛び抜けて素晴らしく焙煎しがいがあり、また生豆の品質が良いので自分の焙煎のレベルが顕著に結果として現れるため、自身の焙煎レベルのアップに繋がっています。

丸山珈琲の生豆販売「Green Beans Shop」でも購入できるようですが、私はいつもお世話になっている「くまきち」さんからの伝もあり現在に至っております。

5、くまきち・歩里人珈琲(ぽりと)

いずれも関西(大阪と和歌山)を拠点にお店を経営されているマイクロロースターです。

特にくまきちさんに関しては私が最もお世話になっているコーヒー屋であり、私のSNSでは最頻出です。(笑)

ぽりとさんはくまきちさんから教えて頂いたご縁で、今回の会場で初めてお話しさせて頂きました。

くまきちさんについては、いつもSNSでそのクオリティの高さをお伝えしておりますので多くは語りませんが、現状「国内でもっとも美味しいコーヒーを焙煎できる人は誰か」という問いに対し満点回答出来るほど素晴らしい焙煎をされる職人です。異論は認めません(笑)

続いてぽりとさんの最大の特徴は、「手網焙煎」に尽きると思います。

扱われている生豆のクオリティの高さもさる事ながら、手網焙煎から生み出されたとは思えない圧巻の焙煎豆クオリティが最大の特徴です。

一般的に手網焙煎といえば、焙煎初心者の方にも自宅のガスコンロを使って取組んでいただきやすい半面、焙煎のコントロールが非常に難しく趣味の域を出づらい焙煎法として捉えられています。

お話によると、ぽりとさんでは独自のプロファイルを駆使し、最適な手網焙煎によるクオリティコントロールを実現しているとの事でした。

是非またお店に伺い、その真髄を自分の目で体感しに行こうと思います。

6、UCC

 

 

UCCは神戸に本社を置く日本で最も有名なコーヒー屋の一つです。

今回UCCブースの取り組みについて注目したものが「持続可能性」というキーワードです。

コーヒーは特にその生産国における生産過程において、児童労働・不当廉売・精製過程における水質や土壌汚染等の環境・社会問題がいまだに根強く残っていますが、その現状を知る消費者が国内においてまだまだ少ないことも事実です。

コーヒー生産者や現地の環境を知り国内での知見を高め、我々消費者がそういったことに積極的に対応している、UCCをはじめとする事業者から積極的にコーヒーを選択することで少しでもその解決に資することが出来るのではと感じています。

このような状況で今回のUCCの取り組みは実に理にかなっていました。

「持続可能性」という消費者には理解して貰いづらいテーマについてその見せ方を工夫し、我々消費者が生産国での各種問題を自分ごとして捉えて貰いやすいような仕掛け作りを多数施していることに感心しきりでした。

近年はESG投資(環境・社会・企業内部統制)といった社会問題の解決に資する取り組みを実施している企業が、投資家から、その取り組みが与え得る将来の価値に期待を集め経営資金を募るといったこともメジャーになって来ており、経営面でも更に大きなインパクトを与えるテーマになって行くのだなと思います。

【その他ブース】

7、カリタ

西陣織のネクタイがめちゃくちゃ可愛く早速注文してしまいました、楽しみ。

 

8、ORGANO

 

浄水器などの機能商品を取り扱うオルガノ(株)

担当者の方の前職が大手珈琲企業ということが分かり、業界は繋がっているんだなと実感。軟水の方が酸がよく出ていた感じがしました。

9、(株)野村事務所

 

ヘルスサイエンス事業を展開する企業。コーヒー生豆等のクオリティをAI・光学機器・テスターからのフィードバックの要素などから総合的に判断し、人によってばらつきのある官能評価をデータ化する機器の販売、及び当該サービスの提供をされています。

味のデータ化は近年、慶應大学発のベンチャーが大手食品メーカーを取引先としその規模を拡大するなど盛んな動きが見られており、主観に左右されやすい味の部分を客観的データとして分析し、信頼性を担保できるのが強み。

10、富士電機

演出性の高いコーヒー関連器具を紹介。

ホテルや百貨店の計り売り等、高級感の高さによるマーケティング効果が望めそうな企業においては充分需要が考えられそうです。

11、TIME MORE

珈琲器具関連商品を展開する中国発の企業。デザインや質感・価格競争力に特に強みがある。特にスケール(計り)に関しては、カフェ等かなりの頻度でお目にかかる機会があり使い勝手も良さそうです。私も欲しい。

ウレタンマットに収納された外出ドリップセットはオシャレでイカしていますね。

【まとめ】

ここに紹介しきれなかったブースも多くまわり、業界に関する新たな知見を収集することが出来ました。ご対応頂けた関係者の皆様に改めて御礼申し上げます。

スペシャルティコーヒーの高品質・多様化の流れと、環境に配慮した持続可能性については年を追うごとに高まって来ていると感じます。コーヒーはあくまでも嗜好品ですが、この流れは「より良い自分の時間を高品質なコーヒーと共に過ごしたい」という消費者の思いが色濃く現れた結果ではないかと思います。

私自身も引き続き焙煎を初めとしたコーヒー活動、診断士活動を通じ知見を深めて行ければと思います。

この記事を見て色々気になられた方はまた、Instagram経由でご連絡頂ければご返答差し上げます。

 

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